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研究室からのお知らせ

三浦正志教授が低温工学・超電導学会「優良発表賞」「科学技術インパクト賞」をダブル受賞しました

理工学部/大学院理工学研究科 三浦正志教授(専門分野:電子・電気材料工学、電磁現象学、超伝導工学、結晶成長学、固体物理学)が、6月1日にタワーホール船堀で開催された(公財)低温工学・超電導学会褒賞授与式にて「優良発表賞」「科学技術インパクト賞」をダブル受賞しました。

優良発表賞は、春秋に開催される低温工学・超電導学会研究発表会において優れた発表をされた研究者10名以内に贈られる賞です。一方、科学技術インパクト賞は、過去2-3年において低温工学、超電導工学、および両分野にまたがった分野において(1)研究開発より顕著な成果を挙げた者、(2)応用開発にて高度な技術進展に寄与した者、(3)基礎研究にて世界的なインパクトを与えた者、2組以内に贈られます。 三浦教授の受賞内容は次のとおりです。

受賞の業績名
優良発表賞「キャリア・ピン制御によるRE123超伝導線材の高臨界電流密度化」
科学技術インパクト賞「世界最高の超伝導臨界電流密度を有する薄膜線材の創製」

業績概要
超伝導は、電気抵抗ゼロで大電流(超伝導電流)を流せる唯一の材料です。そのため、超伝導でしか実現できない様々な応用が期待されています。これらに応用するためには、磁場下で高い超伝導電流が求められます。三浦正志教授らは、独自の材料設計指針である「磁束ピン止め点導入」と「高いキャリア密度」の融合により高い超伝導電流を有する超伝導材料創製を行っています。この指針をもとに創製したYBa2Cu3Oy超伝導薄膜線材は、液体ヘリウム沸点温度(−269℃)下ですべての超伝導材料の中でも最も高い世界最高のJc =150 MA/cm2(1億 5000万アンペア/平方センチメートル)を達成してきました。また、18テスラの高磁場下においてもすべての超伝導材料の中でも最も高いJcを達成することに成功しました。これによりMRI装置、NMR装置、癌治療用重粒子線加速器、リニアモーターカーやSMESなどの高性能化・低コスト化・コンパクト化に貢献することが期待されています。これらの成果は、英国科学誌Nature系の専門誌NPG Asia Materials (学術雑誌の影響度を測る指標(インパクトファクター)=10.99)に掲載され、科学技術振興機構(JST)プレスリリースやニューズウィーク日本版など24件の報道がなされるなど国内外で高く評価されていることが今回の受賞につながりました。

優良発表賞の楯
科学技術インパクト賞の楯