研究成果がNano Lettersに掲載
三浦正志教授(専門分野:電子・電気材料工学、電磁現象学、超伝導工学、結晶成長学)の連名論文「新しい無限層構造ニッケル酸化物超伝導材料(A superconducting praseodymium nickelate with infinite layer structure)」と題された研究が、アメリカ化学会論文誌"Nano Letters"に掲載されました。
Nano Lettersは、アメリカ化学会の発行するナノサイエンスの専門誌で、インパクトファクターは、12.344であり非常に影響力の大きい学会誌です。
三浦教授は、2019年4月~2020年3月までの期間、米国スタンフォード大学Geballe Laboratory for Advanced Materialsの客員教授((独)日本学術振興会 国際共同研究加速研究員)として研究を行ってきました。ニッケル酸化物は、30年以上前に超伝導になる可能性があることが理論的に示されていました。しかし、30年以上、ニッケル酸化物が超伝導を発現することはありませんでした。昨年、スタンフォード大学のH.Hwang教授の研究室で無限層構造ニッケル酸化物超伝導材料(Nd1-xSrx)NiO2薄膜が新しい超伝導体であることが分かりました(D.Li et al. Nature 2019)。
今回の論文では、三浦教授らは、スタンフォード大学のH.Hwang教授のメンバーとともにNdをPrに変えた(Pr1-xSrx)NiO2薄膜が(Nd1-xSrx)NiO2薄膜同様に超伝導を発現することを世界で初めて見つけました。また、その超伝導特性が希土類元素の違いによって異なり、応用上重要である臨界電流密度が(Nd1-xSrx)NiO2薄膜に比べて高いことが分かりました。
今後は、今回発見した新しい無限層構造ニッケル酸化物超伝導薄膜の超伝導発現メカニズムを解明することで更なる超伝導特性向上が期待されます。
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https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.nanolett.0c01392